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月 光
第1章 2.落花
<4>

 ふいに強く抱き竦められ、朦朧としていた翡翠の意識が現実に戻る。はっとして身を起こそうとしたが、男に圧し掛かられ強く抱き締められて身動きも出来なくなってしまう。
「いやっ、放してっ、ここから出て行って――!」
 拒絶の言葉は男の唇に呆気なく塞がれる。唇に男の熱い舌の感触がして、翡翠はぎゅっと奥歯を噛み締めた。しかし男の執拗な舌はとうとう唇をこじ開けると、それが当然のことのようにするりと入り込んできた。
 恐ろしくて翡翠は、反射的に男の舌を強く噛んでいた。
「つっ・・・・・」
 男の唇が驚いて離れる。
「あ・・・・っ・・・・ぁ・・・、お願い、やめて・・・・。わたくしに触れないで・・・・・!」
 翡翠は自分のしたことにがくがくと震え、涙を溢れさせた。完全に恐慌状態で自分が裸身であることにも気付いていない。
翡翠には見えるはずもないが、それでも男は安心させるように微笑んだ。次々に溢れる涙を舐めとり、大きな手が髪を優しく撫でてくる。

 
どうしてこんなことをするの?
 
父王が故意に隠したこともあって、翡翠は男女の交わりのことは何も知らずに育った。翡翠自身、結婚にも異性にも興味が無く、離宮から一歩も出ない身の上では同年代の友人もおらず、それらのことを知らずともなんの問題もなかったかし、わざわざそのことを翡翠に教えるような人間もいなかったのだ。
 
それでも急に態度を変えた男に本能的に激しい恐怖を感じた。
 それなのに触れている素肌は温かくて、男は限りなく優しく触れてくる。その感触は不思議と、翡翠を心から安らがせるのだった。最愛の兄、龍のように……。

「そんなに怯えないで。酷いことはしないから」
 カイは翡翠の耳元で優しく囁いた。内心ではそんな嘘をすらすらと口にする自分に、半ば呆れる。今の自分は少しおかしい、と思いながら。
 翡翠の怯えきった様子を目にすると安心させてやりたくて、たまらない。酷い事をしているというのに、彼女の信頼をも欲するとはなんとも自分勝手なものなのだ。

 
泣かないで、と囁いてから翡翠の額、両の瞼、鼻の頭、頬と顔中に口付けの雨を降らせながら、髪を優しく撫でる。そして耳元の柔らかいところに口付ける。
「噛んではいけないよ、翡翠……」
 暗示をかけるような囁き。それから翡翠の唇にそっと自分のそれを触れさせた。翡翠がびくりと身を震わせるので、安心させるように頬を指の腹で優しく撫でる。唇を僅かに離してもう一度囁いた。
「いい子だ・・・・。噛んではいけないよ・・・・」
 口付けによってふっくらと赤く濡れた下唇を優しく噛んで開かせ、舌を挿し入れて深く口付ける。今度は噛み付いてこないようだな、と片頬に笑みを刻んだカイは再びゆっくりと甘い唇を貪った。
 
儚げな見かけによらず意外に気の強い一面を見せるこの月の姫を抱くことに、カイはいつしか完全に我を忘れていった。

 
熱い唇は顎を伝ってゆっくりと首筋に下りていった。時々強く吸って赤い花弁を散らす。大きな手は小さな胸の膨らみを包み込むと、やんわりと円を描くように掌全体で揉みしだき、柔らかさを存分に味わう。
「ぁ・・・いや・・・止めて・・・・・どうして・・・こんな・・・・・ことをするの?」
 翡翠は白い絹のような滑らかな肌を僅かに上気させ、可愛らしい抵抗を続けている。その問いかけに翡翠が男女の契りの意味すら知らないことに気付いたが、止めてあげることなど出来はしない。もっとも今更やめることなど出来るわけもなかったのだが。

 
翡翠、と欲望に掠れた声で名を囁き、唇をふさいで拒絶を封じ込める。やわやわと乳房を揉みしだいていた指先が、刺激によって立ち上がった胸の蕾を優しく摘み擦りあげた。
「やぁ・・・っ・・・・・やめてっ」
 
あまりの刺激に翡翠は顔を背けてカイの唇から逃れるが、激しく執拗な口付けに呼吸を奪われぐったりとして力が入らず、抵抗らしい抵抗が出来ない。
 
カイの唇と舌は、翡翠の甘い唇を諦めて顎から首筋へすっと下がり、胸の蕾を唇に含んだ。優しく唇で噛み、先端を舌で何度も舐め上げる。そうしながら、もう片方の蕾は指で弄り続ける。女の快楽のツボを充分に心得ているカイの愛撫は、巧みだった。

 翡翠はあまりの刺激に背をそらせた。
「いやっ、いやぁぁ!誰か助けてっ――――」
「この離宮には私とあなたの二人だけ。助けなど来ないし必要ないんだよ。酷いことはしないと言っただろう?いい子だから大人しくして・・・・ね?」
 普段のカイならば処女など抱くのは面倒だし絶対にごめんだ。寝る相手はいつも酸いも甘いも噛み分けることの出来る大人の女と決めている。それなのに翡翠は処女どころか、男女の契りの知識さえも持ち合わせていない子供同然なのだ。結婚出来る年頃とは言え、面倒と思うどころかそんなことさえ愛しく思える。

 
怯えれば優しく宥め、泣き出せば優しく慰め、どんな不安からも守ってやりたい。相反するカイの複雑な感情の起伏は、独占欲と征服欲の他に庇護欲までもを翡翠によって掻き立てられていた。しかし、どんなに庇護欲を掻き立てられても、この行為が止まることはなかった

 
カイはじっくりと両胸の蕾を味わってから、手と唇をさらにあちこちに伸ばしていく。触れると翡翠がびくりと身をすくませる場所は特に念入りに愛撫が施された。腕の内側や脇腹にまで所有の花弁を散らしながら、手と唇による執拗な愛撫はゆっくりと下がっていった。

 
可愛らしい臍の周囲を舐めながら、カイの手は翡翠の滑らかな太腿を撫でさする。そして両膝の裏に手をかけると素早く膝を開かせ、閉じられないように自分の身体を割り込ませた。太腿を抱き込んで脚を広げさせると、ようやくたどり着いた花園にそっと口付けた。

「や、いやぁ・・・・助けて、お兄様っ、お兄様ぁぁっ」
 カイの施す濃厚な愛撫でぐったりとしていた翡翠だったが、生まれて初めて経験する衝撃に悲鳴を上げて仰け反った。しかしさすがにカイも我慢が出来なくなってきていた。そのまま無言で翡翠の脚を抱え上げて大きく開かせ、熱い舌でまだ少ししか潤っていない花園を何度も舐め上げることに没頭する。敏感な花芽を尖らせた舌先で何度も突付くうち、ようやく翡翠の声に甘い色が混じりだす。

「ぁ・・・っ、あ・・・・ん・・・・ああぁっ・・・・・・」
 さらに花芽をすっぽりと唇に含んで舐め上げると、翡翠は高い悲鳴を放ち肢体を震わせてのぼりつめた。敏感になっている蜜壷に舌を挿し入れて、滴りはじめた甘い蜜を舐めとってカイはようやく顔を上げた。経験のない翡翠は快感を恐怖と感じ取ったのか、泣きじゃくりガクガクと震えている。
「大丈夫、大丈夫だ・・・・・」
 次々に溢れる涙の雫を吸い取ってやりながら、強く抱き締めた。翡翠はもう、抵抗する気力すら残っていないのかされるがままになっている。少し落ち着いてきたところで深く口付けたまま、翡翠の中に指をゆっくり挿し入れる。

「いやぁ、痛い、止めて・・・・・っく・・・ん、ぁ・・・っ、やめ・・・て」
 痛みに仰け反って、翡翠は力を振り絞って逃れようとする。
「少し我慢して。いい子だから力を抜いて・・・・」
 一本の指でさえきついくらい締め付けてくる翡翠の中は狭い。慎重に慣らしてやらなければ、傷をつけてしまうことになるだろう。快感で苦痛を紛らわせようと、親指で花芽を刺激してやりながら、敏感な翡翠の身体を再び愛撫する。
 少し力の抜けた膣内をカイの長い指が抜き挿しを繰り返し、敏感な粘膜を擦り上げ描き回す。
 
翡翠は苦しげに眉を寄せ瞳を閉ざし、薄い胸を激しく上下させて荒い呼吸を繰り返している。白磁の肌は薄桃色に上気ししっとりと汗ばみ、カイの腕に身体に吸い付くようだ。翡翠の表情の僅かな変化も逃さないようにじっと見つめながら、指をもう一本慎重に増やす。悪戯な指は、あちこちを奔放に蠢き、そしてある一点を突いたときに翡翠の体が大きく跳ね上がった。
「あぁっ、いやっ」
 蜜がどっと溢れてくる。さらにもう一本指を挿し入れ、翡翠の狭い体内のどこが感じるのかをくまなく探すために蠢かせた。

 剣を握る硬い皮に覆われている指がふやけるほど花園を慣らすと、カイはようやく指を引き抜いた。指にまつわりついた蜜をぺろりと舐めとった。
「お願い・・・・もう・・・こんなことはやめて・・・・・」
 
カイの指に何度も絶頂を極めさせられた翡翠の意識は朦朧としていたが、甘い責め苦から開放されたのを知ると切れ切れのか細い声で懇願した。拒絶の言葉を窘めるよう深く口付けながら、翡翠の膝の裏にカイの手が差し込まれて脚を大きく広げさせた。

 もうずっと、痛いほど張りつめているカイの欲望からは透明な体液が滴っている。滑らかな先端を翡翠の花園に押し付けてゆるゆると擦った。
「あぁっ・・・・何・・・・・・いや、やめて・・・・・もうやめて、赦して・・・・」
 男から刺激され続けて敏感になっている花園に新たな刺激を受けて翡翠は怯えた。その怯える顔を見つめながらカイは自分の欲望にたっぷりと蜜をまとわせ、翡翠の蜜口に先端をぴたりと押し当てると、出来うる限り優しく腰を進めていった。


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