月 光 |
第1章 2.落花 |
<5>
「痛い、いやぁ、やめて、やめて・・・・っ、いやぁぁぁ」
先端の太い部分が挿ったところで、翡翠はいやいやと首を左右に振って激しい苦痛を訴えた。先ほどまで脱力していた身体が痛みにたちまち硬くなる。 「翡翠、いい子だから力を抜くんだ。そうすれば楽になるから」 「出・・・きな・・・・・・い、いや・・・・もうやめて・・・・・」
翡翠は苦しげに眉根を寄せ涙を溢れさせている。このままでは辛いだろう。しかしカイもぎゅっと痛いほど締め付けられ、抜いてやることも進むことも出来なくなる。
「出来るよ、翡翠。さあ、息を吐いてごらん」
涙を舐め取ってやりながら唇を優しく指で撫でて励ましてやる。すると苦痛から逃れたい一心からか、翡翠は僅かながらも喉を震わせ息を吐き出す。このままゆっくり挿入して痛みを長引かせるよりも、一気に貫いた方が楽だろうと判断したカイは、逃れられないようにそっと翡翠の小さな頭を抱き締めた。 「もう一度、息を吸ってから吐いて」
翡翠が素直に息を吐いた瞬間、一気に貫いた。 「ああっ」
痛みに、高い悲鳴を上げた翡翠を抱き締める。 「いい子だね、翡翠は―――」
子供に褒美を与えるように口付けた。自分を受け入れてくれた翡翠が愛しくて、その思いのまま頬を寄せて頬擦りをする。翡翠が落ち着くまで動かずに待つ間、蕩けそうな微笑を浮かべて自分のものとなった愛しい姫の顔を見つめた。
激しい痛みをもたらした熱い楔は翡翠の体内に留まったままだったが、閉ざしていた瞼をそろそろと持ち上げて、自分に酷いことをしている男に目を向けた。 「何を・・しているの・・・・?ど・・・うしてこ・・・んなこと・・・するの?」
男は問いには答えず、翡翠の頬を指の背で愛しげにしばらく撫でていたが、やがてゆるゆると動き出した。
「あっ、いや・・・・っ、いや・・・・痛い・・・・動かないでっ」
限りなく優しく抜き挿しを繰り返しているにも拘らず、かなり痛むようだ。嫌がる翡翠の気を快感で紛らせようと胸の蕾を舌で弄り、敏感な花芽を指で刺激してやる。
翡翠の体内は温かく、ぎゅっときつく包み込んでくる。すぐにでも精を放ちたくなるほど気持ちがいい。じれったいほどゆっくりとした抽送など、カイにとっては物足りないはずなのに―――。こんなことは初めてだった。こんな、目も眩むような快感は―――。
「あ・・・・っ・・・・・あ・・・ん・・・・・・・ああぁ」
優しく突き上げているうちに、翡翠の声にわずかに甘さが滲んだ。その甘い声がもっと聞きたい。指で探った敏感な場所を思い起こし、角度を変えて突き上げた。 「やぁ・・・・っ、いやっ・・・・・・いやっ」
途端に翡翠の華奢な身体が跳ね上がった。 「ここ?ここが感じるの?気持ちいい?」
愛しげに目を細めたカイは翡翠の耳元で囁いたが、もはや聞こえてはいない。それでも構わない。翡翠の身体は快感をちゃんと訴えてくるのだから。一点を執拗に突き上げ、先端を押し付けるために腰を密着させて掻き回す。翡翠の口からは、ただ意味を成さない喘ぎが漏れる。
自分から離れられないように、翡翠の幼い身体に快楽を強く刻み付ける。翡翠は甘い啼き声を上げて、シーツを握り締めていやいやと首を左右に振り続けている。その愛らしい嬌態にカイの熱い楔が、翡翠の体内でぐんと体積を増した。
抽挿はいつしか激しくなっていた。翡翠の体内はそのたびにびくり、びくりと締め付けてくる。 「あっ・・・・・あっ・・・・やあああぁっ」
一際高い悲鳴を上げた翡翠の体内がぎゅっと痙攣して収縮を繰り返す。翡翠をきつく抱き締め最奥を突き上げると、カイもようやく自分を解放した。
身体を引き裂かれる痛みと、熱い激流に流された翡翠は気を失ってしまった。カイは体を繋げたまま翡翠の涙の跡が残る頬に口付け頬擦りしてから、満ちたりたため息を漏らした。
(随分無理をさせてしまったな。優しく抱いてやるつもりだったのに……)
ずっとこうしていたいと思ったが、翡翠の体のことを考えて、自分の楔を抜いた。翡翠の中からとろりと自分の放った精と、破瓜の印が溢れるのを目にすると、喜びが湧き上がってくる。カイの楔はまだ抱き足りないと言わんばかりに力が残っていたが、不思議と満ち足りた気分だった。ようやく自分のものとなった翡翠を抱き締める。
もう離さないし離せない。やっと見つけた……。ただ一人の女性。
カイは微笑みながら愛しい姫を胸に抱き締めると、花の香のする翡翠の髪に頬を埋めた。
|
|